なぜ詐欺メールはバレバレな怪しい文章を送ってくるのか?ちゃんと理由があります。
いつの時代も無くならない迷惑な詐欺メール。今はLINEでもSNSのDMなんかでもありますよね。
読めば一発でスパムだと分かってしまう独特のアホみたいな文章が定番ですが、実はちゃんと理由があって書かれています。
答えだけを簡潔に書くと「詐欺の効率化」のため。
効率化を目指して「旦那がオオアリクイに○されてしまって保険金が入ったけど使いみちに困っています」なんていうレベルの文章や、明らかに他国の方が書いているような文章が生み出されていくわけですね。(この有名なスパム文はただのメールアドレス収集目的だったようですが)
というわけで、その理由をさくっと書いていこうと思います。
- スパムメールは何をするために送っているのか?
- 詐欺で騙す方も手間がかかる
- 最後の最後で逃げられることこそが最悪。
- ターゲットを絞るのは営業なら当たり前のこと
- 業者が本当に欲しいのは「騙される人」
- 他にもまだある「変な文章」のもたらす効果
スパムメールは何をするために送っているのか?
まずはここからですね。スパムを送る理由。
ごく一部の「ただ単に嫌がらせがしたい」という変わった人が個人でやってるパターンを除けば、十中八九がお金を稼ぐためにやってます。
そのうちのほとんどが詐欺ですが、一応商売なんですよね、あれも。欧州の一部の国では「誘拐もビジネス」と言いますしビジネスは幅広いですね。
で、お金を稼ぐために「読んだ人を騙してお金を払わせる」というのが狙いのひとつ。騙されやすい人の生きているメールアドレスを収集してリスト化して売っているパターンなんかもあります。
そのための手順として、まずは返信をさせようとしているわけですね。
詐欺で騙す方も手間がかかる
「いや所詮詐欺でしょ!しっかり働いてる人と比べたら楽して稼いでるよ!!!」と思われるでしょうが、彼らも彼らで苦労はしています。なにせ知らない人間を騙さなきゃいけないわけですから意外と頭を使います。
インターネットが普及しだした頃みたいに、クリック一発で詐欺サイトを表示させてその画面のインパクトだけで騙しきって振り込ませる、なんて時代ならまだラクだったんでしょうけど。
いくらマニュアルがあるとはいえども、いつもマニュアル通りに進むわけではありません。うっかり下手なことを言うと自分が大ピンチになってしまうので、常にギリギリのラインで騙さなきゃいけない綱渡りです。
そんな中で、彼らにとって一番面倒で嫌な相手ってどんな相手だかわかりますか?
最後の最後で逃げられることこそが最悪。
最初から詐欺だと分かっていて「俺は分かっているぞ!お前ら詐欺業者だろ!」みたいなことをいうお客さんは別に適当にあしらってしまえば良いんですよね。
当人は「俺は詐欺業者に言ってやったぞ!」的な武勇伝扱いをしてたりしますが、言われた方は別になんの実害もありません。3秒後には忘れてしまっていることでしょう。
本当に困るのは「何度も何度もやりとりを重ねてあと一歩の所まで来た!」というところで詐欺とバレて逃げられてしまった相手です。
これまでのやりとりで使った時間は帰ってきませんし、最後の最後で逃げられた時の精神的ダメージは大きいですよ。尋常ではない徒労感が襲ってくるはず。
この最悪のパターンこそが「意味不明な迷惑メールが送られてくる理由」のカギ。
ターゲットを絞るのは営業なら当たり前のこと
例えば家を売るとしましょう。
「家を売るのだからターゲットは家を持ってない人だ!」とあなたが考えたとして、そこでホームレスな方々に営業をしますか?
もちろんしませんよね、そんなこと。
「家を持っていない」という条件は満たしていても彼らの中で買える人は滅多にいません。(実は家を買えるくらいの稼ぎがあるホームレス、ごく少数とは言え実在しますけども)
ローンが確実に通りそうな大手の会社の社宅など、現実的に購入ができる人の中で家を持っていない人をターゲットにするはずです。
詐欺業者も同じで、ターゲットを絞っているんですよ、実は。
業者が本当に欲しいのは「騙される人」
私たちのような一般人からすれば「どんなに送ってもバレバレの怪しい内容じゃみんな返信しなくて意味がないんじゃないの?」と思ってしまいますが、彼らはそれで良いのです。
なぜなら、実際に騙す担当の人が望むのは「返信をしてくれる人」ではないのですから。
上の方の偉い人の中には「ガンガン数をこなしていっぱい騙せ!」なんて考えてる方もいるかもしれませんが、実際に手を動かす人間からすれば仕事が増えても売上が増えないのはなかなかに辛いはず。
そしてこう考えます。
「騙されやすい人だけ連絡してきてくれないかなぁ」
なんて。
もうおわかりでしょう。迷惑メールの文章がバレバレの怪しい文章で送られてくる理由。
彼らは「正常な判断能力のある人には、最初から詐欺だと気付いて欲しい」のです。お互いに時間の無駄になりますから。
日本語がおかしい文章や、言っていることが支離滅裂だけど「なんかお金になるらしい」ことだけはギリギリ読みれたりする程度の変な文章に引っかかってしまう人だけに連絡して貰えれば、業者にとっては最高だと思いませんか?
途中で逃げられずに最後まで騙しきれる確率がグンと跳ね上がることでしょう。
もちろんこれだけだと連絡してくれる人が少なすぎて困るので、もうちょっとマシな文章のスパムと併用して数を調節する、なんてこともするでしょうけど。
他にもまだある「変な文章」のもたらす効果
先ほどの理由に加えて、わざと日本語を間違えたり怪しい日本語にすることで「迷惑メールを自動で判定するシステム」を回避できるパターンがあります。それも狙いの一つ。
スパムに良く使われる単語を自動で検出していても、微妙な誤字で回避されてしまうとすぐには対応できませんからね、いつかは対応するでしょうけど。
あとは内容を微妙に変えておきながら意味不明なメールを送ることで、SNSアカウントとメールアドレスやLINEアカウントの紐付けを狙っていたりなんかもします。
このスパムの内容をうっかりSNSなどに載せてしまうと、検索してみつけた業者が送信したメールやLINEのアカウントとSNSアカウントが同一だと判断してリスト化出来てしまうというもの。URL部分が微妙に変わっていたりしたら我々の側は中々気づけません。
ということで、詐欺業者も色々と考えてるらしいんですよね。
個人的にはその知恵をもっとまともなことに使ってほしいなぁとは思うところですが。
なお、この記事は自衛のために知識をつけてもらうことが目的であって、詐欺のテクニックを教えるための記事ではありません。くれぐれもやらないように。