中抜きで儲けてる奴がいる！という話は一切聞かなくて良い。
ここ数年くらい、世間で何かあるたびにすぐSNSで「中抜きしてる奴が」「中抜きで儲けてる奴が」という話が流れてきてうんざりします。ですが、一切読む必要がありません。私は断言します。
純然たる証拠がありますので。
どんなにそれっぽい理屈を並べていても大抵の場合憶測です。もし本当に事情に詳しい人なら、使うはずがないんですよね。
"中抜きで儲ける"なんて言葉を。なにせビジネスの世界では真逆の意味ですから。
中抜きとは中間業者を省くこと
はい、中抜きの本来の意味はこれです。間に入ってる業者を省いて直接取り引きをすることが中抜き。私の知る限りではどの辞書にもこの意味が載っています。
他にも別の業種で使う場合の意味が辞書には載っているのですが、農作業の工程の一種を指す中抜きなどは無関係なので今回は放っておきましょう。
間に入ってる業者を省くことでかかるコストを減らすことは出来ますが、それで利益が増えても儲けるとは言わないんですよね。同じレベルの口語で言えば「節約」の部類に入るくらい。（専門用語だとまた変わりますけど）
業種にもよりますが、中間業者を飛ばして直接取引をすると同業者から敬遠されるので長い目で見て損にもなったりします。建築業界でこれをやると、新しい取引相手を二度と紹介して貰えなくなる地域もあるくらいの行為。（私の地域では、間に入っていた方が「後は両者で直接やってください」と言うまでは毎回話を通すのがマナーです。）
誤用されている中抜きの意味
誤って使われている「中抜き」といえば「中間に入ってる業者が利益を抜くこと」ですね。こちらの意味しか知らない人も少なくはないと思います。
単純に文字のイメージで「中で抜く」が略されたものだと思ってしまったのでしょうか。
元々あった言葉では「中間搾取」が同じ意味ですね。中間に入った業者が搾取するので。こちらを使えば問題ないのですが、なぜか「中抜き」という言葉が流行ってしまった模様。
事情に詳しい人が誤用するわけがない
表に出ていないほどの詳しい事情を知っているならば、それなりの地位にいるケースがほとんどのはずです。その場合、守秘義務がある職でないにしても「業務上知りえたことを外部に漏らさない」という最低限のルールを知らないはずがないですし、言ってしまったら周りからの評価が落ちるので普通は言いません。
もし言うとしたら告発の意味で言う場合くらいでしょう。
その場合でも、事情を知りうるそれなりの地位にいる人がビジネスの場で「中抜き」がどんな意味かを知らないはずもないので、誤用の意味で中抜きという言葉を使いません。混乱の元ですから。
ビジネスにおいては「誤解の余地のない言い回し」が最も効率が良いですからね。情報弱者を食い物にする方や永田町言語を使う方の場合は「あとからどうとでも解釈できる言い回し」こそが正義ですが。
誤用の意味で「中抜き」を連呼するのはどんな人か
まともな地位にいる人が使うわけがないということは書きましたが、使うのはどんな人か？と考えると
- 詳しいことは何も知らないけど何か言いたいド素人
- 「中抜き」という言葉を使いたい人
- よくわからないけど有名な人が何か正しそうなこと言ってるから広めなきゃ！と思った人
辺りでしょうか。
詳しいことはなーんにも知らないけど「俺は社会のカラクリを知ってるんだぜ！」と周りに見せつけたい人なんかは２つ満たしているのでSNSで連呼しそうです。
小学生が最近覚えた言葉をやたらと使いたがるようなものですね。
それと、情報弱者を食い物にしたい人も使うでしょう。
SNSやブログで誤用の意味であえて使用して、それにリプライやリツイート、引用リツイートやコメントをしてくる方は絶好のカモとしてリストに入れると効率が良いですから。
わざと間違った使い方をすることによって「まともな人は話に乗ってこない」というフィルターになっているのでとても便利ですね。
よくわからないけど広めなきゃ！って人に至ってはもう何も言うまでもありません。
結論：中抜きの誤用をしている人の話は聞くだけ無駄
ということで、中抜きを間違った意味で使っている人は大抵何もわかってません。
- 詳しい話は何もわかってないけど何か言いたいだけの人
- 誤用だとわかった上であえて使ってカモを探す人
- 何もわかってない人
くらいしか居ないので、放っておくかミュートしてしまいましょう。読んで精神を消耗するのは無駄ですから。
おまけ：詐欺師のフィルターについては過去に書いていたりします。
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