壁にネジがとまらない理由と対策アイテム「下地探し」
※本記事はネジが抜けてしまう場合の解説ですが、「ネジが刺さらない」といった理由でお困りの方が結構見に来てくれているので、別ブログの方でそちらについても書いておきました。こちらへどうぞ【DIYでネジが入らないときの原因と対策 | 怠けるために努力したい。】
棚やフックを取り付けようとドライバーを手にしDIYを始めるも、ネジがきちんと止まってくれずに抜けてしまうなんてことありますよね。
ちゃんととめたはずなのに、ちょっと力を加えるとポロッと取れる感じの。
そんなときに確実にネジを締めるための便利アイテムがあります。それがこれ。
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- そもそも普通の壁にはネジはとまらない
- プロが壁にネジで固定している3つの手法
- DIYでおすすめなのは「下地に固定する」こと
- 「下地探し どこ太」なら目立つ傷をつけずに下地探しが可能!
- 石膏ボードと木材の柱でもマグネットで下地が探せる理由
- 磁石やセンサー式の下地探しでは不十分!
- 下地を見つけたらあとはとめるだけ
- 見た目にこだわるならボードアンカーとの併用も
- おわりに
さて「下地探し どこ太」の使い方の前に、まずどうしてネジが取れてしまうか考えてみましょう。
この現象、実はネジが止まってないんですね(当たり前です)
そもそも普通の壁にはネジはとまらない
これが建築の世界の基本です。知らない人はびっくりするでしょうが、これが基本です。
コンクリートでも木造でも、みなさんが壁だと思ってるところは大抵の場合石膏ボードです。天井も結構な確率で。
このたいして厚くも固くもない板、表面の紙を剥がせば指でもボロボロ取れます。このボードに壁紙を貼っているのがみなさんのよく知る壁です。これではネジがポロリするのも納得。
ですが、石膏ボードは木の板より圧倒的に安い上に燃えにくく、さらにカッターですら切れるくらい加工しやすいのでほとんどの家はボードを使っています。
画鋲などの尖ったものを刺して外したときに白い粉が付いていればだいたいこの石膏ボード。
石膏ボードでなかったとしても、薄いベニヤ板などならとうぜんネジは利きません。
プロが壁にネジで固定している3つの手法
はい、そんな石膏ボードが使われている家でも備え付けの棚や専門業者さんが後付したものは当然のごとくしっかりついています。なぜ施工業者にはそれが可能なのでしょうか?
答えは主に3つ。
まず1つ目が「棚などのネジをとめる必要がある場所だけ石膏ボードを使わない」という手法。
住宅の場合は事前の打ち合わせで何がどこに付くか決まっているので、必要なところにだけ石膏ボード以外のものを使います。しっかりネジをとめられる厚さの合板など。
私の知っている注文住宅専門の業者さんなんかは、特に指定がなくても「あとからなにか付けそうなところにだけ先回りして合板を入れておく」なんて事をしてたりも。
2つ目が「下地にネジを止める」という手法。
石膏ボードも空中に立っているわけではないので、下地になる柱と間柱(柱と柱の間に立ててある壁の下地になるもの)があります。石膏ボードはその下地にネジで止めることでがっちり固定できているわけです。
その下地にがっちり固定できなかったら壁も一瞬で倒れてきてしまうので、とめたいネジを下地に固定すればがっちり固定できるのは当たり前といえば当たり前ですね。
3つ目はボードアンカーと呼ばれる、ボードにネジをとめるための部材を使う手法。
使うことで石膏ボードにもそれなりにネジを利かすことが出来る部材を使います。
種類はいくつかありますが、ボードの厚みに合わせたものでないと正しい効果を発揮しないものが多く知識が必要です。外したときに大きな穴が残るというデメリットもあります。1cm弱。外さなくても空いてますが外さなければ見えないので外すまではノーカウントです。
DIYでおすすめなのは「下地に固定する」こと
さきほど紹介した手法、1つ目の方法は壁を一度壊す必要があるので大変な上にお金がかかります。
3つ目のボードアンカーを使う方法は経験と知識がないと大変。耐久力も物によって違う上に小難しい数値が書いてあります……。
というわけで「下地にネジをとめる」のが私のおすすめ。
石膏ボード越しに壁を支えている柱や間柱にとめるので、これでも棚がガタついたり落ちるようなら石膏ボードに専用アンカーで固定しても99%落ちます。
壁を支えている大事な柱が壁より弱いわけがないですからね。
ただ問題となるのは、どこに下地が入ってるかが見えないことです。それを解決するのが最初に紹介したアイテム。
「下地探し どこ太」なら目立つ傷をつけずに下地探しが可能!
さきほど紹介したこの道具で目立つ傷をつけずに下地となる柱がわかります。
壁に先端の平たい部分を押し付けると針が刺さってボード部分を貫き、手応えで下地があるのかどうかを確かめつつボードの厚みも針の入った長さで調べるシステム。
しかし、それだといくら針が細くて穴が小さいとはいえ壁が穴だらけになるおそれがあります。プロは経験と知識で大体の位置が読めるのでそれで良いのですが、DIYでそれは難易度が高すぎですよね。
というところに配慮されているのがこれ!
使い込んでいて少々見づらいのですが、この先端部分にあるマグネットでほぼほぼ下地がわかります。
ネジがあるとマグネットが反応するのですが大抵「カチッ」となりますし、手応えでも吸い込まれる感じでわかります。(もう5年ほど使い込んでいるので表面部分にキズがあって見づらいのはごめんなさい)
針は確認に刺すだけ。
正解ならどうせネジを止めるのでそれ以上の大きさの穴が空きますから、針の穴は存在しないも同然です。ぶっちゃけ言われても見えないくらいの穴ですけど。
石膏ボードと木材の柱でもマグネットで下地が探せる理由
下地は木なのに磁石で探せるの?という疑問が浮かんだ方は鋭いですね。木材も石膏ボードも金属ではないので、磁石には反応しないはず。
ですが、いけてしまうからこの商品があります。
そもそも石膏ボードは空中に立っているわけではないです(二度目)。そして石膏ボードを柱や間柱に固定しているのはネジなのです。※業者さんはビスと呼びます。
というわけで、石膏ボードと木材の柱の組み合わせでもボードを止めているネジがマグネットに反応すればその向こうに下地があるわけです。
※施工した業者さんに修行中の見習いさんがいた場合は、たまに下地がない所にビスを入れている場合もあるので、1つ見つけたら上下も探して2〜3個縦にあるか確認すると確実です。
磁石やセンサー式の下地探しでは不十分!
私がセンサー式ではなくこの下地探しをオススメしてる理由ですが、下地の位置を特定しただけではまだ不十分だからです。
下地を探すことが目的ではなく、下地に何かを固定することこそが本来の目的だったはずです。なので、見つけた下地にがっちり固定できてやっとゴールです。
というわけで、見つけた下地に針を刺しましょう。
石膏ボードは柔らかいので、簡単に入っていきます。下地が無ければ簡単に貫通してしまいますし、下地があればぶつかって手応えが変わります。
下地にぶつかったら目盛りを読めば下地までの深さがわかるので、それに合わせて固定するネジを調整しましょう。
固定用のネジはボードの厚みの分を計算して用意されてると思いますが、防音目的やリフォームの名残で石膏ボードを二重にしているケースもあります。
その場合、下地の位置が正しくてもネジが満足に下地に届いていなくて、固定する力が弱まってしまうので危険です。
必ず下地までの距離を確認しておきましょう。磁石だけではこれができません。
下地を見つけたらあとはとめるだけ
この方法を使うともう1つメリットがあったりします。ボードを止めている壁の中のネジの位置がわかっているので、自分がネジを刺したところの向こう側に「ボードを柱に固定しているネジ」があって、それにぶつかって絶対に刺さっていかないという事故を回避できます。宝くじみたいな確率に思えますが、意外と当たります。
というわけで、奥のネジをきれいに避けつつ下地の位置に固定しましょう。これでがっちり固定できます。下地は基本的に縦に入ってるので上下にちょっとずらすだけ。
見た目にこだわるならボードアンカーとの併用も
下地に固定すれば最高の安定感ですが「固定できる位置が決まってしまう」というデメリットも。
横に長いラックだと固定しているネジの位置のバランスが(見た目的に)悪くなったりします。
というわけで、ここで使えるのがさきほどのボードアンカー。
先に下地に固定してから、「何処でも固定できる代わりに耐久力が少し劣るボードアンカー」をバランスよく配置すれば見た目もバッチリ。ただし、さきほども書いたとおりボードアンカーは大きめの穴が残ることだけは注意です。
おわりに
というわけで、壁にネジがとまらない理由、壁に固定ネジを確実に留めるには「下地にネジを固定する」方法がおすすめということと、そのための便利アイテムを紹介しました。
どのくらいの力まで耐えられるかを計算するには、相当な物理の知識か相当な経験が必要になるのでボードにアンカーで固定するよりもこちらの方法を使うほうが確実だと私は思っています。
あとこの商品、さりげなくクリップ側のところをはずすと針の換え芯が2本入っていたりして親切です(5年使っていてまだ一度も針を変えていないのが私)
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